遺贈とは
遺贈する者をい「遺贈者」、遺贈を受ける者を「受遺者」といいます。受遺者は、遺言の効力発生時に生存していることを要します。
遺贈の種類
・包括遺贈
「全財産を遺贈する」、「全財産の2分の1を遺贈する」のような一定の割合を示した遺贈をいいます。
・特定遺贈
「甲土地を妻に与える」、「甲土地の2分の1を長男に与える」のような特定の財産を指定する遺贈をいいます。
※法定相続人でない者への包括遺贈の場合、受遺者も遺産分割協議に加わります。
・遺贈の承認・放棄
包括受遺者は、「相続人と同一の権利義務」を有します(民990)ので、相続の承認・放棄に準じますので、遺贈の放棄は、遺贈を知ってから3カ月以内に家庭裁判所へ放棄の申述をしなければなりません。
これに対し、特定遺贈は、遺言者の死亡後いつでも、遺贈の放棄ができます(民986@)。家庭裁判所への申述は不要です。特定遺贈の放棄は、遺言執行者がいる場合は、遺言執行者、いない場合は、遺贈義務者(相続人)へ意思表示をします(通常、配達証明付内容証明付内容証明郵便で行います)。
・負担付遺贈(民1002)
受遺者となる者に、相続人や第三者のために一定の負担を課すものですが、受遺者は、遺贈の目的を超えない範囲でその負担を履行すればよいことになっています。受遺者が負担を履行しない場合、他の相続人が相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、家庭裁判所に履行の請求をすることができます。
・条件付・期限付遺贈も可能です。
・死因贈与
例えば、「自分が死んだら土地を与える」という契約です。贈与者が死亡した時点で効力が生じます。法律は、遺贈に関する条文を準用するとしています(民554)。しかし、遺贈と違い契約のため、方式に関する規定は適用されません。
・包括受遺者と相続人の違い
受遺者が死亡しても、その子や孫は代襲して遺産を受けられません。
受遺者には遺留分はありません。
相続人の1人が相続放棄しても、受遺者の相続分は変わりません。
受遺者の持ち分は登記しないと第三者に対抗できません(相続は登記なくして対抗できます)
法人も受遺者になれます。
保険金受取人としての「相続人」には、包括受遺者は含まれません。
・遺贈と相続の違い
1、遺贈は、相続人以外も可能ですが、相続は、相続人のみできます。
2、特定遺贈は、いつでも放棄できますが、相続は、相続全体のみを開始を知ってから3カ月以内に放棄を申述しなけ ればなりません。
3、登記手続 遺贈は、受遺者と遺言執行者又は相続人との共同申請ですが、相続は、相続人の単独申請となります。
4、登録免許税 遺贈は、評価額の1000分の20、相続は、評価額の1000分の4です。
5、農地取得 遺贈は、知事の許可を要しますが、相続は不要です。
6、借家権・借地権の取得に、遺贈は、所有者の承諾を要しますが、相続は、不要です。
・遺贈と債務
包括遺贈は、相続と同じく、債務も承継します。特定遺贈は、遺言者の別段の意思がない限り、遺言者の債務を承継し ません。
・補充遺贈
受遺者が、遺贈者より先に死亡しているときは、その相続人であるAが前記財産を遺贈する、場合のように遺贈の 効力の不発生を停止条件とする遺贈をいいます。
・裾わけ遺贈
遺言者が、受遺者に対して、遺贈財産の利益の一部を第三者に分けるよう指定した遺贈をいいます。
負担付き遺贈の負担は、負担が財産上の利益でなくともよいところが違うところです。
・後継ぎ遺贈
受遺者の受けている利益を、一定の条件成就後又は期限到来後、他の者に移転させる遺贈をいいます。
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