相続させる旨の遺言(特定財産承継遺言)とは
「長男には甲土地を、二男には乙土地を相続させる」といった遺言のように、特定の遺産を特定の相続人に相続させる遺言のことですが、この遺言は、遺産分割方法を指定したものか、遺贈なのか、判例学説の見解が分かれていました。
この問題につき、最高裁判例平成3年4月19日判決にて、遺産分割方法の指定と判断され、決着がつきました。
又、特定財産承継遺言によります相続不動産の承継につきましては、遺言に基づく登記等の対抗要件を備えなくても、その権利の取得を第三者に対抗できると判示されておりますが(最高裁判例平成14年6月10日)、改正民放899条の2によりまして、相続による権利の承継につきましては、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分につきましては、対抗要件を備えませんと、第三者に対抗できないとされました。法定相続分の範囲内の部分につきましては、従来通り対抗要件なくして第三者に対抗できます。
又、改正民法899条の2の規定は、2019年7月1日以降に生じました相続につきまして、適用されますため、2019年7月1日以前に生じました相続につきましては、従前通り、対抗要件を備えなくても承継しました相続分の全部を第三者に対抗できます。
相続人に対しまして「遺贈する」旨の遺言も可能ですが、遺贈は通常相続人でない方に財産を遺される場合に使用する形でありますため、相続人の方へ「相続させる」旨の遺言をされる方が、メリットと致しまして、財産が不動産であります場合、その相続人の方が単独にて所有権移転登記が可能でありますこと、財産が農地の場合、農業委員会の許可が不要でありますこと、賃借権を相続されます場合、賃貸人の承諾が不要でありますこと、所有権の登記の際、登録免許税の税率が遺贈でありますと1,000分の20、相続でありますと1,000分の4となりますことなどがあります。
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