遺産分割手続は、相続人全員が参加しなければなりません。相続人の1人が行方不明でも除外して、遺産分割を行っても無効となります。
・失踪宣告の申立て
不在者の行方が7年以上のときは、家庭裁判所に失踪宣告を申し立てて、失踪宣告の審判をしてもらうことができます。審判により、不明者は、不明になってから7年経過したときに死亡したものとみなされます(民30@)。そして、不在者に子がいれば、その子が相続人となり、遺産分割協議に参加することとなります。
後に、不在者が生きていることがわかったときは、失踪宣告は取り消されます。既に遺産分割が終わっているときは、その者の生存を知らなかった相続人は、遺産分割で取得した財産のうち、残っている財産のみ返還します(民32A)。
・不在者財産管理人の選任申立て
生死不明後7年未満であったり、生きている可能性が高いとき、心情的に失踪宣告の申立てをしたくない等の時は、失踪宣告の申立てはできません。このような場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立て、その選任された財産管理人が不在者に代わって遺産分割協議、不動産の売却等を行います。
財産管理人は、不明者の財産の保存、管理は、単独でできますが(民103)、遺産分割協議、不動産の売却など保存・管理を超えた行為をするときは、家庭裁判所の許可を要します(民28)。不在者財産管理人が遺産分割協議に参加するには、申立て時に分割案等を示して家庭裁判所に「権限外行為許可申立て」をし許可を得ておく必要があります。