相続人は、相続によって「被相続人に属した一切の権利義務」を承継します(民896)。
例外
@被相続人の一身に専属するもの(身元保証人の地位など)
A祭祀財産(位牌・仏壇・墳墓など)
B相続人が固有に取得する権利(生命保険金・死亡退職金など)
具体例
・借地権・借家権
相続対象となります。ただし、公営住宅法が適用される住宅については、入居者の死亡によりその相続人は、使用権を当然には承継しえないとした判例があります。
なお、借地借家法では、相続人がいない場合、内縁の配偶者や事実上の養子が亡くなった借家人の権利義務を引き継ぐことを認めています(借地借家法36)(相続ではありません)
・事業の承継
会社の場合
被相続人が所有する株式を相続しますが、会社そのものを相続することはありません。会社が所有する不動産、債権債務は相続対象となりません。
個人事業の場合
その人の持っていた事業財産は、全て相続財産となります。
・保証人の地位
金銭貸借や賃貸借の保証など通常の保証債務は、相続対象となります。
しかし、包括信用保証(限度額、期間の定めがないもの)、身元保証人の地位は、相続対象となりません。
・交通事故で死亡したときの損害賠償請求権
不法行為によって被害者が死亡した場合は、遺族は、被害者が生きていたら得たであろう利益(逸失利益)、被った精神的損害(慰謝料)の賠償を加害者に請求できます。
・生命保険金、死亡退職金、遺族年金など
受取人や受給権者が法律や契約によって特定の者に指定されているときは、その者の保有財産となり、相続財産にならないとされています。
遺族厚生年金などの遺族給付も、受給権者の固有の権利とされ、相続対象になりません。未支給年金も同様です。
・祭祀財産
祭祀を営むための系譜(家系図)、祭具(仏壇・位牌など)、墳墓(墓地・墓石)などの祭祀財産は、相続対象とならず、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します。
民法では、@被相続人が指定した者、A指定がないときは慣習に従って、B慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定める、とされています。
遺体・遺骨について、祭祀財産に準じ祭祀を承継する者に帰属する判例があります。
・香典・弔慰金
香典
相続対象でなく、葬式費用の一部を負担し、遺族に対する相互扶助に基づくものであり、一般的には喪主に贈られたものと解されます。
弔慰金 相続対象でありません。
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